臨床指標(クリニカル・インディケーター)は、病院の様々な機能を数字で表したものです。
指標を分析することで医療の標準化につなげたり、医療機関は自らの現状を把握します。
さらに継続的に計測・分析することで「自院の診療の質を知り、継続的に改善する」ことを目的とする場合は「医療の質の指標」クオリティ・インディケーターと呼ばれています。
大手前病院は、2015年度より日本病院会のQIプロジェクト(医療の質を継続的に向上させるプロジェクト事業)に参加し、多くの指標を測定しています。
※日本病院会QIプロジェクトは、2010年度に厚生労働省の補助事業として実施された「医療の質の評価・公表等推進事業」が前身です。(指標の計測方法などは、日本病院会ホームページを参照してください)
大手前病院は病床数401床の急性期病院です。
退院した患者さんの入院時年齢分布から病院の特徴がみれます。
横にスクロールして確認することができます。
0歳~ | 10歳~ | 20歳~ | 30歳~ | 40歳~ | 50歳~ | 60歳~ | 70歳~ | 80歳~ | 90歳~ | |
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2017年度 | 21人 | 77人 | 236人 | 297人 | 574人 | 908人 | 1713人 | 2282人 | 1592人 | 262人 |
2018年度 | 40人 | 85人 | 266人 | 317人 | 608人 | 922人 | 1629人 | 2358人 | 1748人 | 339人 |
2019年度 | 33人 | 94人 | 284人 | 370人 | 593人 | 1018人 | 1402人 | 2501人 | 1685人 | 404人 |
2020年度 | 12人 | 68人 | 227人 | 260人 | 521人 | 933人 | 1302人 | 2227人 | 1536人 | 424人 |
2021年度 | 9人 | 78人 | 261人 | 298人 | 515人 | 1004人 | 1258人 | 2154人 | 1657人 | 445人 |
大手前病院は、一般355床・地域包括ケア46床の病床で急性期から社会復帰に向けた医療と支援を行います。
大手前病院は、精密検査、手術、入院を必要とする医療とかかりつけ医師からの紹介や救急搬送の患者さんの医療を中心に担っています。
医療の質の指標は、主に過程(プロセス)指標と結果(アウトカム)指標の視点から分析できます。他に医療機関の構造(ストラクチャー)指標から見ることもあります。
受けた治療に対する患者さんの満足度を見ることは、医療の質を計測する直接的な指標のひとつです。ただし一部の患者さんの意見であり、一喜一憂することなく真摯な姿勢が必要です。アンケート調査により「満足、やや満足、どちらとも言えない、やや不満、不満」の5段階評価で、「満足またはやや満足」と回答された割合です。
全退院患者のうち残念にも死亡退院された患者さんの割合です。医療施設の特徴や患者さんの状態などが異なるため、医療の質を直接計測する指標ではありません。救急搬送された場合や主に苦痛を取り除く医療を行っている場合の死亡を除外することで、日常の医療提供体制を客観視することにつながります。
救急医療の機能を見る指標です。
救急車の受け入れ要請のうち、実際の受入数の割合です。
救急医療の機能向上を目的としています。
日本の医療体制は、患者さんの身近な地域で必要な医療が切れ目なく提供されることを目標にしています。各医療機関は自らの機能に応じた役割を果たすため、「紹介される・する」という方法で地域の他の医療機関と連携を取り合っています。
紹介率・逆紹介率は、その連携の度合いを示す指標です。
紹介率の分子 = 紹介初診患者数
逆紹介率の分子 = 逆紹介患者数
紹介率・逆紹介率の両分母 = 初診患者数-(休日・夜間以外の初診救急車搬送患者数+休日・夜間の初診救急患者数)
入院中は、手術や病気自体や環境の変化などが原因で転倒やベッドなどからの転落が起こりやすいと言われています。
転倒・転落およびその損傷レベル別に事例を分析することで、転倒転落リスクの要因を特定し、予防策を実施する継続な体制につなげる指標です。
損傷レベル2以上は処置や治療が必要な場合
損傷レベル4以上は特に重度な場合
褥瘡についての指標は、看護ケアの質評価です。褥瘡は患者のQOL(※)の低下をきたすと共に、感染を引き起こすなど治療が長期におよぶ可能性もあります。褥瘡は「床ずれ」と呼ばれ、自宅や介護施設などで発生することもあります。入院中の看護ケアの評価には、新規に褥瘡が発生した患者さんを把握します。入院時にすでに褥瘡を保有している場合や調査期間の以前から褥瘡を持ち継続して入院している患者さんを除外して計測します。
※QOL = 生活の質
大手前病院では、医師および皮膚・排泄ケア認定看護師が中心となる褥瘡対策委員会が回診を行います。
分子 = 入院後、院内で新規に深さd2以上の褥瘡を発生した患者数
分母 = 入院延べ患者数
分母除外 同日入退院患者数入院時すでに褥瘡を保有および継続して褥瘡をもつ患者の入院日数
特定術式の手術における適切な予防的抗菌薬使用状況を把握するため、以下の各指標の「分子の合計」を各指標の「分母の合計」で割ることで、ケアプロセス群全体を統合的に実施できているかを評価できます。
手術後に手術部位に感染が発生すると入院期間の延長するなど負担が増加します。
手術開始から手術終了後の一定期間まで血中および組織中に抗菌薬濃度を適切に保つことで予防できる可能性が高くなります。そのために手術執刀開始前1時間以内に適切な抗菌薬を開始する必要があり、その程度を見る指標です。
手術部位感染を予防するために予防的抗菌薬の投与が、必要以上の使用されると耐性菌の発生や患者さんの負担増加につながるおそれがあります。
適切な時期に抗菌薬が投与停止されているかを見る指標です。
手術部位感染症の発生率は、手術方法や部位により違いがあります。予防にはその原因菌を対象とした抗菌薬の使用が必要です。
QIプロジェクトにおいて適切とされる抗菌薬の使用状況を見た指標です。
ケアバンドルという、有用性が認められた手法を単独でなく束ねて行うことで最大限の効果を得ようとする考えに準じた指標の表現方法です。
分子 = 以下の手術関連指標の分子の合計
分母 = 手術関連指標の分母(特定術式の手術件数)の合計
01 |
特定術式における手術開始前の適切な予防的抗菌薬投与率 分子 = 手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数 |
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02 |
特定術式における術後の適切な予防的抗菌薬投与停止率 分子 = 術後24時間以内に予防的抗菌薬が停止された手術件数 |
03 |
特定術式における適切な予防的抗菌薬選択率 分子 = 術式ごとに適切な予防的抗菌薬が選択された手術件数 |
特定術式の手術件数にも左右される。
分子 = 以下の急性心筋梗塞関連項目の患者数の合計
分母 = 急性心筋梗塞で入院した患者数(①~⑦)の合計((①~⑦ 全てプロセス)
01 | 急性心筋梗塞患者における当日アスピリン投与割合 |
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02 | 急性心筋梗塞患者における退院時抗血小板薬投与割合 |
03 | 急性心筋梗塞患者における退院時βブロッカー投与割合 |
04 | 急性心筋梗塞患者における退院時スタチン投与割合 |
05 | 急性心筋梗塞患者における退院時ACE阻害剤もしくはアンギオテンシンⅡ受容体阻害剤投与割合 |
06 | 急性心筋梗塞患者におけるACE阻害剤もしくはアンギオテンシンⅡ受容体阻害剤投与割合 |
07 | 急性心筋梗塞患者の病院到着後90分以内のPCI実施割合(18歳以上) |
分子 = 以下の脳卒中関連項目の患者数の合計
分母 = 脳梗塞かTIAと診断された入院患者数の合計(①・②・④は18歳以上)
01 | 脳卒中患者のうち入院2日目までに抗血小板療法もしくは抗凝固療法を受けた患者の割合(プロセス) |
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02 | 脳卒中患者のうち退院時抗血小板薬投与割合 (プロセス) |
03 | 脳卒中患者の退院時スタチン処方割合 (プロセス) |
04 | 心房細動を伴う脳卒中患者への退院時抗凝固薬処方割合 (プロセス) |
05 | 脳梗塞における入院後早期リハビリ実施患者割合(プロセス) |
糖尿病の治療には運動療法、食事療法、薬物療法があります。
運動療法や食事療法の実施を正確に把握することは難しいため、薬物療法を受けている患者さんのうち適切に血糖コントロールがなされているかを表す指標です。
分子 = HbA1cの最終値が7.0%未満の外来患者数
分母 = 糖尿病の薬物療法を受けている外来患者数(過去1年間に該当する治療薬が外来で合計90日以上処方されている患者)
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