みなさんは通常の1日の排尿量と排尿回数をご存じでしょうか。一般的には1日の尿量は1,000~2,000ml、1回の排尿量は200~400ml、1日の排尿回数は7回以下と言われています。そして夜間頻尿とは、排尿のために夜間1回以上起きなければならない状態のことです。加齢と共にその頻度は高くなり、夜間1回以上トイレに行く頻度は、60歳以上では8割以上の方にあてはまります。そして2回以上の頻度となれば、生活の質が低下し、日常生活に何らかの支障をきたすことも考えられます。
夜間頻尿の原因としては、夜間の尿量が1日の尿量の1/3以上を占める夜間多尿、膀胱容量が低下し、適正な量の尿を貯めることのできない膀胱畜尿障害、加齢に伴い睡眠時間が短くなり、眠りも浅くなることで、夜間に目が覚めやすくなる睡眠障害が3大要因とされています。また夜間多尿に関しては、心不全、高血圧、糖尿病、肥満、浮腫、睡眠時無呼吸症候群、うつ病など様々な内科疾患も関与していることから、各々の原因疾患に対する治療も必要となります。
夜間頻尿の治療は、泌尿器科では膀胱容量を増やすお薬などでの治療が主体となりますが、それに加えて、水分や塩分の取り過ぎに注意をしたり、足のむくみを取るために夕方に散歩をしたり、室温調整などで冷え対策を行うなど、生活習慣を見直したり、規則正しい生活リズムを維持することがたいへん有効で、生活習慣の見直しや、規則正しい生活リズムの維持により、お薬を飲まなくても夜間頻尿が良くなる方もなかにはいらっしゃいます。
そして夜間頻尿の原因を調べるときに参考となるのが排尿日誌です。下図に示すように、1日の排尿した時間と排尿量を記載することで、ご自身の排尿パターンや排尿量を正確に確認することができます。排尿日誌は夜間頻尿の治療法の選択に有用であるのに加え、ご自身の生活習慣の見直しを行う際にもとても役立ちます。夜間頻尿でお困りの方は一度排尿日誌を付けてみてはいかがでしょうか。
今回は非常に多くの方がお困りの、夜間頻尿に関して簡略にお話しをしましたが、夜間に限らず日中の頻尿や尿漏れでお困りの方、また尿が出にくくてお困りの方がいらっしゃいましたら、お気兼ねなく泌尿器科を受診していただければと思います。
2022年9月 泌尿器科 芝 政宏
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