病院で受ける画像検査といえば何が思い浮かびますか?CT?MRI?レントゲンなどでしょうか。生理機能検査室では超音波(エコー)という画像検査を行っていて、人間ドックでも標準検査やオプション検査として採用しています。超音波検査って耳にされたことはあるかもしれませんが、実際どんなイメージをお持ちですか?受けられたことのある方はお腹にゼリーを塗られて技師がテレビのモニターのようなものを観てなにか考えている印象でしょうか。
超音波とは人の耳では聞くことができないほど高い周波数(ものすごい高音)の'音'のことです。人の耳では聞くことができませんが'音'なので'やまびこ'と同じ現象が起きます。皮膚表面からこの超音波を発信すると体の中で内蔵や血液などにあたって'やまびこ'のように跳ね返ってきます。超音波装置では跳ね返ってきた'音'のエネルギーの大きさを白黒の強弱に変換して白黒写真のような画像で表現されます。その画像(静止画)を観て体の中の情報を判断しているように思われるかもしれませんが、実際にはその画像が1秒間に数十枚もつくられ、それがすごいスピードで上書きされますので体の中の組織の動きをリアルタイムに観ることができます。例えるなら高速のパラパラ漫画のようなものなのです。
リアルタイムに動きが見られるというのは超音波検査の最大の利点でこれが診断に非常に役立ちます。例えばお腹の中には胆嚢という消化に関わる液体(胆汁)の入った袋がありその中には結石やポリープができることがあります。この2つは超音波装置でみるとどちらも白く表現されて見分けがつかない場合がありますがここで'動き'の有無を確認します。ポリープは胆嚢の壁にくっついているものなので動きませんが結石は胆嚢の袋の中をころころと動きます。そのため、その動きを見て鑑別することができます。
乳腺超音波では乳腺の中に出来物をみつけたら皮膚表面から押してみます。よく動き変形するものなのか動きが乏しく変形しないものなのかをみて良性か悪性かを推測するのも超音波診断の一つの助けになります。
また、超音波検査は白黒だけでなく色もつけることができます。
カラードプラ-と言う設定では信号を送ったところから観て、血液のように常に流れている物質に対して近づいてくる流れは赤色、遠ざかっていく流れは青色で表現することができます。白黒画像に加えいろいろな流れの情報を色として得ることができるのです。
心臓超音波では心臓の中を流れる血流の向きや速さに異常がないかを観察します。心臓には4つの部屋があってその部屋の間にドアの役割をしている'弁'というものがついています。この'弁'の開閉が悪くなると血液が漏れて逆方向に流れます。また、動脈硬化で硬くなった'弁'を通る血流はホースをつまんだ時のように勢いよく速く流れます。この速い流れは赤色青色黄色が混ざったように表現されます。このように心臓弁膜症(弁の病気)の評価には色つきの画像がなくてはならないのです。
今回、超音波の原理と観察の仕方で見えたものをどんな風に判断しているか簡単な例えで紹介させていただきました。2023年8月、大手前病院の健康管理センター(人間ドック施設)は京阪モールに移転しリニューアルされました。名称も大手前病院附属天満橋健康管理クリニックに変更となりました。人間ドックでは腹部超音波は標準検査項目です。さらにドック利用者様からのご希望の多い乳腺超音波、心臓超音波もオプションで受けることができます。スタッフ一同気持ちを新たに活気ある人間ドック施設を目指し質の高い検査を提供することができるよう取り組んでおりますので、リニューアルした当院人間ドックで腹部超音波のみならずいろいろな超音波検査を受けていただければと思っています。
生理機能検査室
*エコーecho:英語で「こだまする」、「反射する」の意味
*周波数:音の波が1秒間に振動する回数のこと 単位Hz
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