お薬をいくつ飲んでいますか?

 

お薬をいくつ飲んでいますか?

2024.12.24
薬剤部

あなたやあなたのご家族は毎日何種類のおくすりを服用していますか?朝のくすりだけでお腹がいっぱいになるなんて冗談を言う患者様もときどきいらっしゃいます。

一般的に高齢ではお薬が増えることがわかっています。厚生労働省のデータでは60歳以上を超えると7つ以上の薬を処方される割合が増え、75歳以上では約4人に1人が7つ以上のおくすりを服用していることが報告されています。

高齢になると複数の病気を持ち人が増えてきます。病気の数が増え、受診する医療機関が複数になることも薬が増える原因となります。75歳以上の高齢者の4割は5種類以上のおくすりを使っています。高齢者では、服用しているおくすりが6種類以上になると副作用を起こす人が増えるというデータもあります。

ポリファーマシーという言葉を聞いたことはありませんか?ポリファーマシーは「Poly(多くの)」と「Pharmacy(薬剤)」からなる造語です。このまま日本語に直訳すると多くの薬剤(服用薬)ですが、ポリファーマシーの本来の意味から「害のある多剤服用」と訳されることが多いです。つまり、単に一度に使用する薬の数が多い「多剤併用」ではなく、それによって有害な事象が起きている、あるいは起きやすい状態を「ポリファーマシー」といいます。日本語に訳すと「害のある多剤服用」を意味する言葉です。重要なのは「害のある」という部分で、単純に「服用する薬の数が多い」ということではありません。

では、服用しているくすりが多くなると何が悪いのでしょう。一般的に服用しているおくすりの種類が多くなると以下のようなことが起きやすくなります。

  • 1,医療費の増加
  • 薬が増えればそれだけ多くの薬剤費を支払わなければなりませんよね


2,飲み間違え
このくすりいつ飲むんでしたっけと迷った経験はないですか?くすりの種類が多ければ多いほどややこしくなり服用時間や服用する錠数を間違えてしまったり、飲むこと自体を忘れてしまったり、そもそも多すぎておくすりを服用するのが嫌になります。


3,副作用が起こりやすい
おくすりが増えると副作用が起こりやすくなります。高齢者では6剤以上になると薬の有害事象(薬との因果関係の有無にかかわらず、薬の使用によって生じた有害な反応)が発生しやすくなると報告されています。さらに薬の種類が増えれば増えるほど注意するべき飲み合わせが増えます。



これらのことから多すぎるおくすりを減らすことが大切といわれています。

必要とする以上の薬や不要な薬が処方されていることによって、有害事象のリスクが増えたり、誤った方法での服薬、服薬アドヒアランス低下などの問題につながる状態を指します



高齢者では6剤以上になると薬害有害事象(薬との因果関係の有無にかかわらず、薬の使用によって生じた有害な反応)が発生しやすくなると報告されています。一方、6剤以上の薬が必要な場合もあれば、3剤でも問題が起きることはあり、その中身が重要であると言われています。



ポリファーマシーの問題点

また、薬の副作用や有害事象を抑えるために新たな薬を処方する・・・というように



なぜ高齢者では副作用が起こりやすいのか

高齢になると肝臓や腎臓の働きが弱くなり、おくすりを分解したり、体の外に排泄したりするのに時間がかかるようになります。また、おくすりの数が増えると、おくすり同士が相互に影響しあうこともあります。そのため、薬が効きすぎてしまったり、聞かなかったり、副作用が出やすくなったりすることがあります。

服用した薬は主に肝臓で代謝(分解)され、腎臓から排せつされます。しかし高齢になって肝臓や腎臓の機能が低下すると、薬の代謝や排せつに時間がかかるようになり、薬が効きすぎて副作用が出現しやすくなります。

高齢者の場合、6剤以上服用すると有害な事象を起こしやすくなることが報告されています(*)。特に多いのが、ふらつき、転倒、もの忘れです。うつ、せん妄(突発的な意識障害)、食欲低下、便秘、排尿障害なども起こりやすくなります。
加齢による代謝機能の低下、多剤併用の2点によって、高齢者ほどポリファーマシーのリスクが高まるのです。

加えて、薬だけではなく、サプリメントや健康食品などをとり入れている高齢者も少なくありません。たとえ食品であっても薬との組み合わせによって、有害事象が引き起こされることもあります。

ポリファーマシーが生じるパターンの1つに「処方カスケード」があります。カスケードは「連なった小さな滝」という意味があり、処方カスケードとは、服用している薬による有害な反応が新たな症状と誤って認識され、それに対して新たな処方が生まれることを指します。

薬を使うと副作用が出ることがあります。しかし、副作用には特徴がはっきりしないものも多く、もともと薬で治療しようとした病気の症状と見分けにくい場合などもあります。そのため、実は副作用により症状が出たとき、別の病気にかかったと間違われ、さらに別の薬が処方されることも考えられます。

  • ・NSAIDsによる高血圧に降圧薬が処方される

これらの処方がすべて「処方のカスケード」に当てはまるわけではなく、副作用の対処として適切である場合も含まれると考えられます。しかし、副作用の可能性が見逃されていれば、当初の薬剤を見直すという選択肢が失われてしまいます。

気になる症状があっても多くのおくすりは"必要だから"処方されています。勝手に薬をやめたりおくすりの量を減らしたりするのは絶対にしないでください。必要な薬は正しく服用することが大切です。服用している薬が多いと感じるときにはまずは医師や薬剤師にご相談ください。この際サプリメントや市販薬についてもお伝えください。

当院では入院時に薬剤師が現在服用しているおくすり全てに目を通し、減らせそうな薬がないかチェックし医師と相談するようにしています。ぜひ薬剤師にご相談ください。

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