大手前病院腎臓内科では近隣の医療機関との病診連携を重視しながら、地域における腎臓内科の基幹病院として診療を行っています。
慢性腎臓病(CKD)診療は当科における最重要課題であり、特に力を入れているのが以下の3点です。
1. 腎炎・ネフローゼの早期発見・早期治療(腎生検の推進)
2. 保存期CKDにおける病診連携の強化
3. 末期腎不全における円滑な透析腎代替療法への移行
また、CKD以外にも、急性腎障害(AKI)や電解質異常など腎疾患全般、ならびに高血圧を対象に診療を行っています。
4名の腎臓専門医を中心に、回診、カンファレンス、日々のミーティング等を通じて情報を常に共有し、 診療科として診療方針の統一をはかり、質の高い医療を提供できるよう心がけています。
日本腎臓学会認定研修施設
日本透析医学会 認定施設
慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群は、腎生検の結果に基づいて的確に早期治療を行うことで、寛解や治癒を目指します。IgA腎症、1次性ネフローゼ症候群、急速進行性糸球体腎炎は難病に指定され、2017年には新たな診療ガイドラインが公表されました。慢性糸球体腎炎で最も多いIgA腎症に対しては、扁透析摘出術+ステロイドパルス療法実施し、8割を超える臨床的寛解率が得られています。ネフローゼ症候群や急速進行性糸球体腎炎の治療は、原疾患に応じてステロイドや各種免疫抑制薬をガイドラインに準拠して組み合わせて実施しています。
ADPKDも難病指定されている腎疾患の一つで、2017年に新たな診療ガイドラインが公表されました。遺伝性腎疾患としては最も多く、60歳までに約半数が末期腎不全に至ります。ADPKDの進行抑制に利尿薬であるトルバプタンが有効であることが明らかになり、治療薬として認可されました。当科でもトルバプタンの適応となる方に対しては、積極的に使用しています。
腎障害が既に進行している場合は、治癒を目指す治療は困難ですが、降圧薬による血圧管理に食事療法などを組み合わせることで、腎障害の進行を抑制することが可能です。こうした治療は長期間継続することが重要ですので、かかりつけ医との病診連携を重視しています。
当科では、適切な降圧薬の選択や食事療法を目的として、クリティカルパスを用いた10日間の入院加療を実施しています。入院時には、必要に応じて腎臓リハビリテーションも実施し、ADLの維持、腎機能の保持に努めています。
各種治療にもかかわらず腎不全が進行した場合は、腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)について説明(腎代替療法指導外来のページへ)を行い、納得していただいた上で治療を開始するようにしています。
血液透析については、退院後は透析クリニックに通院していただくことになりますが、入院中に十分な導入期指導を行うことで、退院後の透析が円滑に行えるように心がけています。また、必要に応じて腎臓リハビリテーションを実施し、合併症の予防に努めています。透析クリニックとの病診連携も重視しており、慢性透析患者様が各種合併症で入院された際の血液透析にも対応しています。
血液透析以外にも持続血液濾過透析、血漿交換などの血液浄化療法も実施しています。腹膜透析については、腹膜透析外来のページをご参照ください。
先行的腎移植も含め腎移植については、腎移植を実施している施設と連携して円滑に受診・検査・治療を進めています。
腎臓病について治療に役立つように教室を開催しています。
腎生検
健診などで発見された検尿異常に対しては、積極的に腎生検を実施し治療方針決定に役立てています。当院では、クリティカルパスを用いた5日間の検査入院を実施しています。病理部の協力により腎生検の迅速な診断が可能であり、5日間の入院中に生検結果と治療方針の説明を行っています。
腎超音波ドプラ検査
非侵襲的検査である腎超音波ドプラ検査を積極的に実施し、腎臓の形態に加えて血流も評価することで、CKDの予後予測、治療効果の予測等に活用しています。
病診連携の推進により地域医療機関の先生方からのご紹介が増え、腎臓内科の新入院患者数もこの10年間で倍増し年間300人を超えるようになりました。原疾患も多岐にわたり、腎炎・ネフローゼ、保存期CKD、末期腎不全(透析)がほぼ同数となっています。
2019年2月にはCKDに関するかかりつけ医から腎臓専門医への新たな紹介基準が公表され、同年6月に刊行されたCKD診療ガイドライン2018にもこの基準が採用されています。
(*1)血尿+なら紹介、蛋白尿のみならば生活指導・診療継続。
(*2)40歳未満は紹介、40歳以上は生活指導・診療継続。
上記・上記以外に3ヶ月以内に30%以上の腎機能の悪化・その他の場合でも大手前病院腎臓内科へご紹介を賜れれば幸いに存じます。
専門医に紹介すべきかどうか判断に迷う場合のために、CKD相談シートを用意しました。CKDについて、どのような小さなことでも結構ですので、お気軽にご相談いただければ幸いに存じます。
別紙のCKD相談シートにご記入の上、地域医療連携センターまでFAXをお願いします。原則として毎週(火)(金)に腎臓内科部長が回答させていただきます。
受診が必要と判断された際は、改めて正式にご紹介賜れば幸いです。先生方のご利用をお待ち申し上げております。
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大阪大学医学部腎臓内科関連施設のひとつで、後期研修は大阪大学医学部付属病院の専門医育成プログラムに参加しています。採用案内(初期研修医・後期研修医)もご参照ください。基本事項から希少疾患まで、日々丁寧に診療しています。新内科専門医・腎臓学会専門医・透析医学会専門医取得のために必要な研修ができます。
杉浦 寿央(すぎうら としひろ)
診察日 | 火曜日(午前)、木曜日(午前・午後)、金曜日(午後) |
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役職 | 診療部長、医療技術部部長、血液浄化センター長、感染管理センター長、診療情報管理室室長 |
主な 専攻分野 |
腎臓疾患、透析療法 |
所属学会・ 資格等 |
日本内科学会総合内科専門医・指導医・近畿支部評議員、日本腎臓学会専門医・指導医・評議員、日本透析医学会専門医・指導医・評議員、大阪大学臨床教授、医学博士(大阪大学) |
略歴 | 大阪大学医学部 卒業 |
ひとこと | 腎臓内科領域のあらゆる疾患の診療を行っていますが、 中でも慢性腎臓病(CKD)の早期発見・早期治療には特に力を入れています。 |
中森 綾(なかもり あや)
診察日 | 月曜日(午前・午後)、水曜日(午後) |
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役職 | 腎臓内科部長 |
主な 専攻分野 |
腎臓疾患、透析療法 |
所属学会・ 資格等 |
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本腎臓学会専門医・指導医、日本透析医学会専門医・指導医、日本腹膜透析医学会認定医、日本腎代替療法医療専門職推進協会腎代替療法専門指導士、多発性嚢胞腎協会認定医、臨床倫理認定士(日本臨床倫理学会) |
略歴 | 大阪大学医学部 卒業 |
ひとこと | 信頼される医療の提供に努めます。 |
赤垣 冬子(あかがき ふゆこ)
役職 | 医長 |
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主な 専攻分野 |
日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会専門医・指導医、日本透析医学会専門医 |
小堀 愛美(こぼり あいみ)
役職 | 医員 |
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所属学会・ 資格等 |
日本内科学会 日本専門医機構認定内科専門医 日本腎臓学会 日本透析医学会 |
平井 祐里(ひらい ゆり)
役職 | 医員 |
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所属学会・ 資格等 |
日本内科学会 日本腎臓学会 日本透析医学会 |
日付 | 曜日 | 担当 | 備考 |
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2024年10月24日 | 木 | 杉浦 | 休診 |
2024年11月15日 | 金 | 平井 | 休診 |
2024年11月28日 | 木 | 杉浦 | 休診 |
2024年12月6日 | 金 | 赤垣 | 午後休診 当日の予約外受診は受付不可となります。 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 |
中森(綾) |
杉浦 |
- |
杉浦 |
赤垣 |
午後 |
中森(綾) |
- |
中森(綾) |
小堀 杉浦 腎代替療法指導 |
赤垣 平井 |
❶大阪メトロ谷町線「天満橋駅」下車
1・3番出口より徒歩約5分
❷京阪電車「天満橋駅」下車徒歩約5分
❸JR東西線「大阪城北詰駅」下車徒歩約15分
住所〒540-0008 大阪府大阪市中央区大手前1-5-34
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