診療科・部門・センターのご案内

呼吸器内科

診療科の特徴と診療内容

当科では、気管支喘息などのアレルギー疾患、気管支炎や肺炎などの感染症、間質性肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、非腫瘍性の呼吸器疾患から、肺癌をはじめとする腫瘍性疾患まで、呼吸器疾患全般の診察を行っています。呼吸器における当科の特徴は、胸膜疾患を専門領域としていることであり、中皮腫などのアスベスト関連疾患の診断・治療を総合的に行っています。中皮腫は胸膜以外にも、腹膜・心膜・精巣鞘膜に発生しますが、当科では全ての中皮腫の治療を行っています。

アスベスト関連疾患

アスベストにはがん化と線維化を起こす作用があります。アスベスト繊維を吸入(アスベスト曝露と表現します)して、40年ほど経過しますと、特異的に中皮細胞ががん化します。これを中皮腫といいます。仕事などでたくさんアスベストを吸うと、肺に線維化がおこります。これを石綿肺といいますが、肺の線維化を基にして肺がんが発生することがあります(石綿肺癌)

中皮腫

中皮腫の多くは胸膜に発生します。まれに、腹膜や心膜にも発生することがあります。アスベスト曝露が主な原因ですが、遺伝的な因子が関与する場合もあります。以前は稀な腫瘍でしたが、最近は非常に増えてきました(図)。阪神工業地帯はアスベスト関連発がんの好発地域ですが、なかでも大阪府には日本で最も多くの中皮腫が発生しています。)

診断

当院では、早期に確実に中皮腫を診断するため、外科的な胸腔鏡で胸膜生検を実施し、呼吸器内科・呼吸器外科・病理の合同カンファレンスで診断をつけています。

治療

標準的な化学療法に加えて、研究倫理審査委員会で承認を受けた新たな治療法も行っています。中皮腫は公的補助の対象疾患ですので、診断が確定しますと、アスベスト職歴のある場合は労災として、それ以外は石綿被害救済法の手続きをしていただきます。

アスベスト関連良性胸膜疾患
良性石綿胸水

アスベストは、悪性腫瘍だけではなく、良性の病態も起こします。曝露後20年ほど経過しますと胸水が貯留します。良性石綿胸水と呼ばれるものですが、検査を行ってもはっきりとした所見がないので、多くが原因不明の胸水とされます。その中に極めて早期の胸膜中皮腫が含まれていることがあり、検査が必要になります。当院では適切に胸膜を生検し、診断を確実に致します。良性石綿胸水は自然に消退し、再貯留することがあります。

びまん性胸膜肥厚

胸膜には肺を包む臓側胸膜と胸腔内面を内張する壁側胸膜があります。びまん性胸膜肥厚とは臓側胸膜が厚くなったものですが、良性石綿胸水と共にみられることがあります。また、CTでは円形無気肺がみられることもあります。

胸膜プラーク

アスベスト検診などで見つかる壁側胸膜が部分的に硬くなったもので、レントゲンでは石灰化(骨の様に白く見える)がみられることがあります(写真)。これは胸膜の腫瘍ではなく、症状は殆どありません。
プラーク自体ががんになることはありませんが、アスベスト曝露を受けた証拠になり、経時的に経過を見ていく必要があります。

胸膜プラークのレントゲン像
(矢印の白い部分)

肺がん

肺がんは50歳以上になりますと急激に増えてきます。タバコを吸う方に多いのは言うまでもありませんが、受動喫煙(他の人が吸ったタバコの煙を吸うこと)でも肺がんのリスクを高めます。禁煙すると肺がんになるリスクを下げる効果があります。
肺がんは、咳や痰、胸痛などの症状が出て発見される場合と、検診や他の病気で通院中に無症状で発見される場合があります。症状発見の場合は進行がんの比率が高くなり、症状が出る前に発見することが大切です。当院では低線量肺がん検診を行っています。

診断と治療

当院では、呼吸器内科・呼吸器外科・病理との合同カンファレンス(毎火曜日)で、肺がんの診断と治療方針を決定しています。診断に重要な気管支鏡検査は、静脈麻酔を併用して負担の少ない方法で実施しています。治療は日本肺癌学会診療ガイドラインに準拠して行いますが、合併症のある場合は各領域の専門医と協力して治療を行います。

早期肺がんの実例

写真は3年前の検診で僅かな陰影が見つかり、定期的に経過を厳重に観察させて頂き、3年後には陰影がやや増大する傾向がみられたために、切除させて頂きました。T1aN0M0という早期の肺がんで、完治されています。
検診での僅かな陰影(左図矢印)がやや増大する傾向があり(右図矢印)、外科治療で完治しています。

合併症のある肺がんの治療

本院には日本専門医機構のサブスペシャリティ領域の専門医が揃っています。肺がんは高齢の方に多いため、合併症がしばしばみられますが、治療を要する合併症のある場合は、各領域の専門医と協力して治療を進めます。

気胸、難治性膿胸、その他の呼吸器疾患

悪性腫瘍以外に、呼吸器疾患全般の診療を致します。呼吸器外科と呼吸器内科の両者の治療が必要な疾患(難治性気胸や膿胸など)では、協力して治療を進めています。

地域医療機関の先生方へ

呼吸器センターとして腫瘍性呼吸器疾患を中心に呼吸器全般の診療を行っています。呼吸器内科・呼吸器外科および病理との密接な連携で、早期に確実な診断を目指しています。腫瘍のみならず、間質性肺炎やCOPDなどの良性呼吸器疾患の診断・治療を専門的に行っています。何なりとご相談いただけましたら幸いです。

医師紹介

  • 中野 孝司(なかの たかし)

    中野 孝司(なかの たかし)
    診察日 火曜日(午前)、金曜日(午前)
    役職 顧問、呼吸器センター長、臨床研究センター長
    主な
    専攻分野
    呼吸器内科、肺がん・中皮腫、胸膜疾患、職業性肺疾患、 呼吸器感染症
    所属学会・
    資格等
    日本内科学会認定内科医・指導医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・指導医、日本臨床腫瘍学会暫定指導医、日本結核病学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、日本肺癌学会特別会員、日本呼吸器学会功労会員、日本呼吸器内視鏡学会特別会員、兵庫医科大学名誉教授
    略歴 昭和54年 兵庫医科大学 卒業

    昭和54年 同上 内科学第三講座 研修医

    昭和56年 同上 内科学第三講座 医員

    昭和57年 同上 内科学第三講座 助手

    平成 3年 同上 内科学第三講座 学内講師

    平成14年 同上 内科学第三講座 総合内科学呼吸器科学学内講師

    平成15年 同上 呼吸器内科学講座 主任教授

    平成18年 同上 胸部腫瘍学講座 主任教授

    平成19年 同上 がんセンター長

    平成24年 兵庫医科大学病院 副院長

    平成24年 同上 内科部門長

    平成26年 兵庫医科大学 副学長

    平成29年 国家公務員共済組合連合会大手前病院 顧問
    ひとこと 全ての呼吸器疾患を診察しますが、特に呼吸器腫瘍やアスベスト関連疾患を中心にしております。診断・治療が難しい中皮腫や肺がんが専門です。宜しくお願い致します。
  • 廣岡 亜矢(ひろおか あや)

    役職 感染症内科部長 兼 呼吸器内科部長代理
    所属学会・
    資格等
    日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本呼吸器学会専門医、日本呼吸器内視鏡学会、日本肺癌学会、日本結核病学会、日本感染症学会、身体障害者福祉法15条指定医、日本医師会認定産業医
  • 堀口 有希(ほりぐち ゆき)

    役職 医員
  • 西條 伸彦(さいじょう のぶひこ)

    役職 呼吸器内科医長

休診・代診情報

日付 曜日 担当 備考
2024年5月15日 廣岡 休診
2024年5月21日 廣岡 休診
2024年5月22日 廣岡 休診

外来担当表

午前

西條

中野(

廣岡

廣岡

亀井

飯田

中野

午後

-

-

廣岡

-

禁煙外来
(第2,4週、予約制)
現在休止中

Access
最寄り駅

大阪メトロ谷町線「天満橋駅」下車
1・3番出口より徒歩約5分

京阪電車「天満橋駅」下車徒歩約5分

JR東西線「大阪城北詰駅」下車徒歩約15分

住所

〒540-0008 大阪府大阪市中央区大手前1-5-34

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